2024.1.5  連続講座第1回は、2023年11月12日(日)に沖縄大学で開催されました。第1回および前日の米軍基地ツァーの録画は、こちらから視聴できます

https://www.youtube.com/@voice-of-okinawa-and-ryukyu/videos

   

連続講座第1回(2023.11.12)

 開会あいさつ:伊波義安(共同代表)、山代寛(沖縄大学学長)

講演

 ・田里千代基(与那国町議会議員):「アジアと結ぶ国境の島」から「要塞の島」へと激変する与那国

 ・長野広美(種子島西之表市議会議員):馬毛島基地問題 先が見えない日本の進路

 ・宮城秋乃(蝶類研究者):やんばる世界自然遺産の米軍廃棄物の現状

 ・阿部岳(沖縄タイムス編集委員):沖縄で進む報道規制

 ・新垣毅(琉球新報報道本部長):諦めず沖縄の自己決定権行使を

 ・セドリック・アルヴィアーニ(国境なき記者団東アジア総事務局長):

                 世界の自由報道の近況報告および東アジア・日本のメディアの危機

質疑応答(司会:桜井国俊)

  閉会あいさつ 桜井国俊(共同代表)

 

米軍基地ツァー(2023.11.11)

 ②「嘉数高台・米軍普天間飛行場」 ③「辺野古」 ④「東村 高江展望台」 ⑤「北部訓練場跡地・廃棄物の現状」  

 ⑥「北部訓練場メインゲート」 ①「那覇軍港と国際コンテナターミナル」

 

*この活動は、一般社団法人アクト・ビヨンド・トラストの助成を受けています。


沖縄・琉球弧の声を届ける会 連続講座第1回

   2023年11月12日 沖縄大学

 

  メディアは全ての人権のため、隠された真実を暴け!

~「新たな戦前」に直面する沖縄・琉球弧の島々の真実を!~

 

主催:沖縄・琉球弧の声を届ける会

共催:沖縄大学

  

司会:丹原美穂(「沖縄・琉球弧の声を届ける会」共同代表)

13:30~13:45 開会挨拶(各5分)

・伊波義安(「沖縄・琉球弧の声を届ける会」共同代表)(通訳:大城奈理子)

・山代寛(沖縄大学学長)(通訳:親川志奈子)

・玉城デニー(沖縄県知事)ビデオメッセージ(通訳:親川志奈子)

13:45~15:15 第一部:沖縄・琉球弧の声(各30分)

・田里千代基(与那国から)(通訳:大城奈理子・親川志奈子)

・長野広美(馬毛島から)(通訳:大城奈理子・親川志奈子)

・宮城秋乃(やんばるの森から)(通訳:大城奈理子・親川志奈子)

15:15~16:15 第二部:メディアの声(各20分)

・阿部岳(沖縄タイムス)(通訳:酒井莉沙子・瀬川牧子)

・新垣毅(琉球新報)(通訳:酒井莉沙子・瀬川牧子)

・セドリック・アルヴィアー二(国境なき記者団東アジア総事務局長)

                  (通訳:瀬川牧子)

16:15~16:35  休憩

16:35~17:20 第三部:質疑応答(通訳は講演担当通訳)

17:20~17:25 ウクライナ・パレスチナ問題についての集会声明(5分)

・丹原美穂(「沖縄・琉球弧の声を届ける会」共同代表)(通訳:大城奈理子)

17:25~17:30 閉会挨拶(5分)

・桜井国俊(「沖縄・琉球弧の声を届ける会」共同代表)(通訳:酒井莉沙子)

賛同団体:

泡瀬干潟を守る連絡会、沖縄環境ネットワーク、沖縄平和市民連絡会、嘉手納ピースアクション、基地・軍隊を許さない行動する女たちの会、ジュゴン保護キャンペーンセンター、日本ジャーナリスト会議、日本ジャーナリスト会議沖縄、ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会、ヘリ基地反対協議会、ミサイル配備から命を守るうるま市民の会、有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る連絡会、NPO 法人奥間川流域保護基金


 開会挨拶 沖縄大学学長 山代 寛

 

 本日は日曜日でありますが、ここ沖縄大学にお集まりの皆様、そしてオンラインで視聴なさっている皆様、貴重な休日にもかかわらず、ご参加いただき誠にありがとうございます。

 本日のシンポジウムは、「沖縄・琉球弧の声を届ける会」の桜井国俊沖縄大学元学長名誉教授から沖縄大学の全学研究プロジェクト「いのちの未来の平和学」研究班にお声がけいただき沖縄大学を共催として本学を会場に実現することができました。

 本日の第1回講座では、与那国、やんばるの森、そして馬毛島で展開されている軍事要塞化に対峙する取り組み、自然環境を守る取り組みを紹介し、日本のメディアの風潮に抗して声を挙げる沖縄のメディアの取組み、さらには国境なき記者団にとる沖縄、そして東アジア地域の見え方について報告していただきます。またこのシンポジウムは今日で終わりではありません。第2回目を2月18日に予定しております「沖縄・琉球弧の声を届ける会」による連続講座開催のキックオフとなるイベントでもあります。

 目下、沖縄を取り巻く課題は数知れません。平和、環境、人権、どれを見ても、その重大さはますます厳しい状況になりつつあります。沖縄大学はそうした課題に対し、地域で行動する方々と共に情熱を注いできた大学です。本日のテーマは、まさに平和、環境、人権の危機に対する取り組みであり、沖縄大学が率先して関わるべきテーマなのであります。構造的な差別のある所に問題がしわ寄せされるというのは、日本へ復帰して50年以上を経た沖縄に依然として当てはまります。地球規模の問題が自分たちの問題であることに容易に気づくことができる、学びに満ちた地域に存することが、沖縄大学の存在理由であると考えております。沖縄大学憲章には、「自立した平和な沖縄を実現すべく、沖縄を軍事基地のない島とする多様な研究提言や実践に取り組みます」と宣言しており、この取り組みの一環として本日の講座をこの沖縄大学で開催できますことを大変に意義深く受け止めている次第でございます。

 ご報告くださるシンポジストの皆様、そしてご参加の皆様と共に本日のテーマに臨めることに感謝を申し上げ、簡単ではありますが、開会の挨拶とさせていただきます。


 閉会挨拶 沖縄・琉球弧の声を届ける会共同代表 桜井国俊

 

 沖縄・琉球弧の声を届ける会共同代表の桜井国俊です。皆様、本日は日曜日にもかかわらず連続講座第1回「メディアは全ての人権のため、隠された真実を暴け!」~「新たな戦前」に直面する沖縄・琉球弧の島々の真実を!~にリアルであるいはオンラインでご参加頂きまして誠に有難うございます。リアル参加者は80名、オンライン参加者は60名、合計140名の皆さまにご参加頂きました。

 本日のシンポジウムは、全学研究プロジェクトで「いのちの未来の平和学」の研究を進めておられる沖縄大学の皆様のご協力を得て、私ども「沖縄・琉球弧の声を届ける会」の主催で開催させて頂きました。地の利の良い那覇で開催できましたことは大変有難く、山代学長はじめ沖縄大学の皆様に厚く御礼申し上げます。あとで連続講座第2回の予定について紹介させて頂きますが、実は第2回も沖縄大学を会場に開催させて頂くこととなっております。

 さて本日は、与那国、やんばるの森、そして馬毛島で展開されている軍事要塞化に対峙する取り組み、自然環境を守る取り組みが紹介され、また日本のメディアの風潮に抗して声を挙げる沖縄のメディアの取組み、さらには国境なき記者団による沖縄、そして東アジア地域の見え方について報告していただきました。沖縄・琉球弧でいま何が起きているか、それがどのような意味を持つのか、真剣に考えるきっかけを掴んで頂けたのではないでしょうか。

 ところで今年は「世界報道の自由デー30周年」の記念すべき年です。国境なき記者団によれば、日本の報道の自由度は世界180ヵ国中のなんと68位です。お隣の韓国の47位、台湾の35位と比べても実にお寒い状況です。民主党政権時代の2010年に11位だったものが、安倍・菅政権のもとで急落したのです。権力の監視役を務めるべきメディアが政府と大広告主に忖度するのが日本のメディアであり、日本の中でその被害をもっとも深刻に被っている地域は明かに沖縄です。それを打破したいということでこの企画は始まったのです。

 しかし皆さん、その打破は決して容易なことではありません。連続講座第1回の実施に当たってそのことを痛感しました。今後乗り越えるべき課題の大きさについて、皆さまと共通認識を持つために、今回私どもが経験したことを紹介させて頂きます。

 出来るだけ多くの外国メディアの方にご参加頂きたい、そのために広く呼び掛けたいと考え、私どもは海外メディアとの交流の経験が豊富な同時通訳の瀬川牧子さんのアドバイスのもとに動きました。一つには公益財団法人フォーリンプレスセンター(FPCJ)の海外メディア・在日大使館向けのリリース・配信サービスを受けるべく申し込みをし、あと一つには外国特派員協会(FCCJ)で記者会見を行ないたいと申し込みました。しかし残念ながら両方とも断られました。理由は説明されませんでしたが、応募する前の彼らの説明から限りなく推測されるのは、「政治的メッセージが強い配信は出来ません」ということです。私達が発信しようとしているテーマが政治性が強すぎるとしたら、一体どうしたら良いのでしょう。いずれにせよ、沖縄・琉球弧を取り巻くメディアの閉塞状況は極めて深刻であることを改めて認識する必要があると思います。

 さて私共の今後の計画ですが、まず第一に今回のシンポジウムの総括をしっかりと行ないます。それを踏まえて第2回のシンポジウムをここ沖縄大学で来年の2月18日に行ないます。テーマは「日本政府が問答無用で強行する辺野古新基地建設に反対する市民運動」です。講師としましては、ヘリ基地反対協議会の浦島悦子さん、ジュゴン保護キャンペーンセンターおよびEnvironmental Justice Projectの吉川秀樹さん、そして琉球大学の徳田博人さんの3名を予定しております。皆様、ぜひご参加下さい。

 それでは皆様、また明日から、沖縄と琉球弧の未来を切り開くために、共に手を携えて、一歩一歩前に進んでいきましょう。

 本日はどうも有難うございました。以上を持ちまして閉会の挨拶とさせていただきます。


セドリック・アルヴィアーニ アジア太平洋局長 国境なき記者団(RSF)

 

 本日はお招きいただき、ありがとうございます。沖縄で皆さんと直接お会いできなかったことを残念に思います。久しぶりに日本を訪れ、近いうちに直接お会いできることを楽しみにしています。

 

1 - 国境なき記者団(RSF)

 国境なき記者団(RSF)は、ジャーナリズムの自由、多元性、独立性のために活動し、これらの理想を体現する人々を擁護する国際的な非政府・非営利組織です。1985年に設立されたRSFは、国連、ユネスコ、欧州評議会、フランコフォニー国際機構、アフリカ人権・人民の権利委員会との協議資格を有し、公益的機能を果たしています。

 

 RSFの活動

   ・報道の自由侵害の糾弾

   ・ジャーナリスト支援(緊急支援および能力開発)

   ・関係者(ジャーナリスト、市民社会、政府、国際機関)と協力して解決策をもたらす。

 

2 - 世界の報道の自由

 2002年以来、世界報道の自由度指数は180の国と地域におけるジャーナリズムの環境を評価している。状況は、31か国が「非常に深刻」、42か国が「困難」、55か国が「問題あり」、52か国が「良好」または「満足」である。ジャーナリズムを取り巻く環境は、10か国中7か国が「悪い」、10か国中3か国だけが「満足」である。人口を考慮すれば、今日、人類の3分の2ほどが情報を得る権利を奪われた体制下で生活しており、これらの自由が十分に尊重されている国で生活しているのは5%未満である。

 通常、北欧諸国が上位を占めるが、世界をリードする議会制民主主義国家は明らかに後退している。G7諸国のランキングを見てみよう : カナダ15位、ドイツ21位、フランス24位、イギリス26位、イタリア41位、アメリカ45位、日本68位。

 最後の3位はアジア諸国が独占している : ベトナム(178位)は独立した記者やコメンテーターの狩りをほぼ完了した。中国(179位で4つ減)は世界最大のジャーナリスト投獄国であり、プロパガンダ・コンテンツの最大輸出国のひとつ。北朝鮮(180位)に驚くことはない。

 2021年2月の軍事クーデター以来、世界で2番目に多くのジャーナリストを投獄しているミャンマー(173位)と、記者を取り巻く環境が悪化の一途をたどり、女性ジャーナリストが文字通り公の場から抹殺されているアフガニスタン(152位)は、依然として指数の最後尾に位置している。

 

3 - 日本の状況

 日本は180カ国中68位である。議会制民主主義国家である日本は、メディアの自由と多元主義の原則を支持している。しかし、伝統、経済的利益、政治的圧力、男女間の不平等が重くのしかかり、ジャーナリストは政府の責任を追及するという役割を十分に果たすことができない。

  ・メディアの過度の集中(5大コングロマリット)

  ・「記者クラブ」制度(差別と自己検閲)

  ・政府を批判したり、「非国民」とみなされるテーマを取材したりするジャーナリストへの嫌がらせ

  ・汚職、セクハラ、健康問題(Covid-19、放射能)、公害など、デリケートとみなされかねないテーマに対する激しい自己検閲

  ・ジャーナリズムを考慮しない曖昧な「国家安全保障」規制

  ・2012年に民族主義右派が台頭して以来の不信の風潮。2020年、政府はCovid-19による健康対策を口実に、

   記者会見に招待するジャーナリストの数を大幅に減らした。

 

4 - 解決策への取り組み

 報道の自由は、政府の濫用の可能性から市民を守るものであり、報道の自由問題を提起することは、日本を軽視することとイコールではなく、実は日本国民への配慮を示すものである。RSFは2018年後半、日本政府と関わるミッションを実施し、首相官邸と外務省に面会した。報道の自由がどのように守られ、さらに改善されるかを率直に話し合う機会となった。Covid19によって中断されたが、来年には再開される予定である。

 私たちはまた、日本、日本の市民社会、メディア関係者を以下のイニシアティブに招待した:

 

国際情報・民主主義イニシアティブ(International Information & Democracy Initiative)は、グローバルなオンライン情報通信空間における意見と表現の自由のためのセーフガードを確立することを目的としている。このプロジェクトは、解決策の提案とベストプラクティスの普及に取り組むフォーラムを通じて、デジタル時代における世界人権宣言第19条の実施を目指すものである。このプロジェクトはこれまでに52か国から賛同を得ており、いつの日か日本もこのイニシアティブに参加することを期待している。

 

ジャーナリズム・トラスト・イニシアティブ(JTI)は、信頼できるニュースや情報源を促進するための自主規制メカニズムである。世界の主要メディアや国営放送を含む約1,000のメディアがすでに参加している。競争上の優位性を提供することで、メディアが編集プロセス、パフォーマンス、倫理的行動を最適化するインセンティブを提供する。消費者や市民、規制当局、投資家、寄付者、広告主や流通業者などの民間セクターが、信頼できるジャーナリズムを特定し、それに報いることができるようにする。

 

・2023年11月10日、RSFと16のパートナーは「AIとジャーナリズムに関するパリ憲章」を発表した。この憲章は、世界中のジャーナリスト、報道機関、報道機関が人工知能を使った仕事に適切かつ適用できる倫理と原則を定義した、この種のものとしては初めてのものである。

 

 日本は世界有数の民主主義国家であり、大きな責任を負っている。国際社会が最高水準を期待するのは当然のことであり、RSFのようなNGOがこの要請に応えるのも当然のことです。私たちは日本とのさらなる協力関係を模索しており、これが日本における報道の自由と情報への権利に貢献し、また世界的なレベルになることを願っています。

 

 国境なき記者団(RSF) https://rsf.org/en

 世界報道の自由度指数 https://rsf.org/en/index

 


沖縄・琉球弧の声
沖縄・琉球弧の声を届ける会 連続講座第1回チラシ(表)
沖縄・琉球弧の声
沖縄・琉球弧の声を届ける会 連続講座第1回チラシ(裏)

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